北海道十勝研修 最終日:薪窯パン工房/雨に負けてしまった小麦

北海道十勝研修、最終日については、
マツザキが担当します!

最終日に向かったのは、
帯広市内にあるアグリシステムさん直営の
薪窯パン工房「風土火水」でした。

そこでは楢の木の薪を使い、窯に火を入れてパンを焼いていました。
窯の構造は狭い入り口が一つあり、中はドーム状に広くなっているというものでした。

薪窯パン工房「風土火水」

自分が働いている店では、扉が四段ある電気窯を使用しているので、
それぞれの窯の温度を変えることができますが
この薪窯は一つしかないので、パンによって温度を変えるということはできません。
ですが、薪窯は中がとても広くなっているので、
パンを置く位置によって、温度の調節を行っているそうです。

毎日違う室温や湿度の中で窯に火を入れ、
さらに薪の燃え方等でも温度の上がり方が変わってくるという。

薪窯でパンを焼くのは、
ボタン一つで温度の調節ができる電気窯を使用している自分には、
とても同じパンを焼くという仕事には見えませんでした。

薪窯パン工房「風土火水」

焼きあがったばかりのパンをいただいた時、
薪で焼いているということもあってか
電気窯で焼いたものとは違った味わいがあり、非常に美味しかったです。

パン工房を見学させていただいた後、
次の目的地である斎藤農場さんにお邪魔しました。

斎藤農場さんでは、慣行栽培と有機栽培の両方を行っているそうで、
とても広大な敷地に小麦では
「ゆめちから」と「きたほなみ」小麦のほかに、
今の時期(7月)はコーンも育てていらっしゃいます。

農場に到着すると斎藤さんが出迎えてくださり、
ヤングコーンを七輪で焼いたものをご馳走になりました。
自分はヤングコーンの水煮になったものしか見たことがなく、
加工前のものは初めて見ました。味は非常に甘くとてもおいしかったです。

その後、小麦畑を見せていただきました。

斎藤農場

同じ帯広の中でも斎藤さんの地域は、他に比べて天候が少し良いらしく、
他の農家さんのより発育が良いそうです。
ですが同時に気温の影響で小麦の病気の一つである
「縞萎縮(しまいしゅく)病」になってしまうこともある、とのことでした。
本来、この病気は本州によくあるウイルス性の病気でしたが、
最近の異常気象で北海道でも発生するようになってしまったそうです。

このウイルスには「ゆめちから」は強い耐性を持っていますが、
「きたほなみ」はあまり耐性がなく被害を受けやすいそうで、
減収する恐れがあるため、追肥を多めにするなどの対策をとっているとのことでした。
ですが、追肥を多くしてしまうと茎が長く育ってしまい、
さらに、縞萎縮病になると茎は細くなってしまうそうです。

実際、伺った日の前日の雨と風で、収穫直前の小麦が倒れてしまったとのことでした。
倒れてしまっても収穫はできるそうですが、
やはり機械がうまく刈り取れない場合もあり、減収してしまうそうです。

雨と風に倒れてしまった小麦畑

斎藤さんの農場でお話しを聞いた後、「想いやりファーム」へ伺いました。
この牧場は、牛にストレスを与えることなく育てていることで、
日本で唯一無殺菌の生乳を販売できるそうです。
その生乳は非常に濃厚で、雑菌がほぼいないため、
発酵することはあっても腐敗することはないそうです。

「想いやりファーム」で販売されているソフトクリームは、
今までに食べたことない濃厚かつサラッとした舌触りで非常に美味しかったです。

次に向かったのは最後の目的地である「バイオダイナミックファーム トカプチ」です。

ここはアグリシステムさんが経営されている農場で、
バイオダイナミックに基づいてライ麦を育てていらっしゃいます。
ライ麦は他の小麦とは違い、
背が非常に高く「野毛(ノゲ)」と呼ばれる
小麦の実の先にあるトゲのようなものも長く、
また全然違うものに見えました。

ほかにも、ブドウを育てていたり、
ブラウンスイスという乳牛を育てていたりと、興味深いものばかりでした。

ライ麦の野毛(ノゲ)

この三日間、普段ではあまり意識していなかった小麦の育て方や、
それぞれの農家さんの小麦作りに対する思い、
さらに小麦を小麦粉にする製粉会社さんの思いと努力などに触れることができ
非常に勉強になりました。

この経験を活かしこれからのパン作りに役立てたいとおもいます。
お世話になったみなさま、本当にありがとうございました。

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